. . . . 【6/10pc】高麗青磁 劃花蓮弁文盌/ 高麗王朝時代 ── Article No.6 Goryeo Celadon with lotus petals design and repaireing method of Kintsugi, is the technique of fixing cracked pottery with a lacquer resin infused with powdered pure gold. / 12-14c, Korean Goryeo Dynasty - repaired in Japan 寸 / 高約4.8cm 径約11.5cm 継 / 金平粉直 . . . . . 蓮弁が法相華を包み込む意匠は、仏教国としてかつて華やいだ半島の美意識を小盌の中に咲かせており、 周囲の空気の流れを清冽なものにするような立ち姿です。 . . . 親交国である南宋から舶来した龍泉窯青磁の陶技と、同じく定窯意匠を意識した南宋景徳鎮窯の創意を巧みに取り入れ、 器形は古式の斗笠碗の面影を残しながら自国の美文化として形に結んでいます。 高台回りにわずかな釉溜りを見せる品で、その意匠や形状からは、瑞々しい蓮の葉で水を抄うかのような印象を。 . . . . .. . . . .. . . . . 高麗王朝においては南宋の美術がひとつの手本となった感があります。 . . 貿易が盛んであった高麗で、文化流入の窓口となったのは都である開京から近い 礼成江河口にある港の碧瀾渡が主な接点であり、この港には遥か遠くアッバース朝のアラビア商人たちも居たことが文献にのこっています。 アラビア商人たちが、国名の高麗(コリョ)を彼らが音韻しやすい「コリア」と呼び始め、今の英語表記「Korea」の基になったとされます。 . . . . . 国教である仏教の中、あまり知られていないことながら新羅時代に受容した国際国家の唐文化を継承しており、 多くの異民族が帰化した王朝期でもあったとされます。 こうした中に、中国陶工からの陶技を確実に自国に定着させていったことが推見できます。 . . また、その後の李氏朝鮮時代と異なり、朝鮮半島の歴史の中では新羅に続き比較的に女性の社会的地位が高い時代であったとされ、 当品にも感じることですが女性らしい造形のしなやかさが反映された文化期であった感があります。 . . . .. . . . .. . . . .. . . .. . . . 5mmほどのホツの修繕をお願いしましたが、 蓮葉に朝露がたたえられているような印象を想起していました。 それは、打ち合わせの中で知らず知らずに伝わっていたのか。 . . 蒔かれた金の直しは水滴を思わすように、ごくわずかな膨らみを宿しながら蒔かれており、 意を汲んでいただいたような戻りに感謝した依頼で、女性らしい細やかさが光る直しの内容であったかと感じます。 . . .. . . . 佳き仲間であり先輩である氏が、「盃以上 茶碗未満」という愉しい表現をされた寸形に適うような寸法で、 座辺や日々の暮らしの中において清冽な空気を運びながらも、実用観点でも活躍するような品に感じています。 . . . . . . . . . . . . . . . ───「 漆芸師の目 道具屋の目 」 場所 @hst_kyoto.4 アカウント上 期間 2022年2月1日(火)-2月15日(火) 形式 展示販売方式 (SNS.web 及び店頭) 商品価格など詳細につきましてはDMなどでお問合せくださいませ。 会期中の店頭展示は、変わらず土日のみの運営となります(2/5.6.12.13)。 ─ 百芍丹 / 京都市上京区御三軒町37 . . . . 'ways of viewing and crossover' ─ We are honored to announce the exhibition of pottery with Kintsugi, titled 'Shitsugeishi no me - Douguya no me' on February 2022 at Hyakushakutan KYOTO. . . . . . . . . . . 百芍丹
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by h_s_t
| 2022-02-06 23:50
| 品々のこと
. 【5/10pc】隅田川焼 百花園銘 都鳥盃 / 幕末 - 明治初期 ── Article No.5 Sumidagawa Ware sake cup with a pair of Japanese black-headed gull and repaireing method of Kintsugi, is the technique of fixing cracked pottery with a lacquer resin infused with powdered pure gold. / 19c, Tokyo pref. Japan - repaired in Japan 寸 / 高約3.3cm 径約6.8cm* 継 / 金平粉直 及 白漆直 . . . . . . . . . 立春を迎え、何か新しいものの巡りを告げるような盃に思います。 立春に因む季語の中に耳に柔らかいものがひとつあり、 二月の終りを告げる季語、「二月尽(にがつじん)」が自分は好きです。 . . . . . 「逃げる」と当てられるほどに早く終わる二月。 同時に終わりを待つ感も、誰しも一様にあるのではないかと思います。 期待しても良い暖かさへ向けた冬の終わりを含め、新しいことを見越し何かが無事終わりつつある良さを内包する 「終わり」が担保するものは、ほっとしたものを感じる人間らしい肌味ある季語に感じています。 そして、北に還る渡り鳥たち同様に、皆、新たな出発が近いことを胸に秘めているような言葉かと。 . . . . . . . ちらちらと 空を梅ちり 二月尽 . ───── 原 石鼎 / 1886 - 1951 . . . . . . . . . . . . . . . . . 盃は、数少なくなってしまった隅田川焼。丸みを帯びる以前の姿で、 甘いものになりがちな類品の中にあって、すっとした佇まいの風を切るような立ち姿です。 器形から、幕末から明治初頭期と判じますがその数はいよいよ見なくなった感があります。 . . . 向島の百花園は、多賀屋敷と呼ばれた地において1804年(文化元年)に開園した庭園で、 亀戸の「梅屋敷」に倣って「新梅屋敷」という異名を持ったとされます。 文人庭としての景観は、絵師酒井抱一をはじめとした文人墨客のサロンとして愛され、 梅の図を好んで描いた抱一自ら、「梅は百花にさきがけて咲く」といって「百花園」と命名し今に至っています。 . . . . . . . . . . 百花園は、面白いことにこれを開園をしたのは同業の先人たる骨董商であり、 そうした由縁も興味を湧かせ、自分も佳い品に出会うことがあれば一度試してみたいと思っておりました。 . . . . . 数カ年が経ち、探すという機でもない折に思わぬ出会いをし、少し頑張りながら嬉しく手元に寄せることができたのですが、 その日のうちに自身の不注意で落としてしまい傷つけてしまった盃でもあります。 . . . 打ち合わせではその辺りの話にもなり、生業とする者の馬鹿な失敗になんとも恥ずかしいやら情けないやら複雑な感覚でしたが、 にこにこと柔らかく話を進めていただいた記憶があります。 しっかり直していただいた上で皆さまにご覧いただくのが、自身への戒めのためにも佳いものになるかと思い、 他品とやや毛色の異なる本品ですが、展示に加えさせていただきました。 . . . 不肖なる当店の不格好な失敗談が付いて回りますが、佳盃に罪は無く、 ご愛好の方の目に留まれば幸いです。 . . . . . . . . . . . . . . . ───「 漆芸師の目 道具屋の目 」 場所 @hst_kyoto.4 アカウント上 期間 2022年2月1日(火)-2月15日(火) 形式 展示販売方式 (SNS.web 及び店頭) 商品価格など詳細につきましてはDMなどでお問合せくださいませ。 会期中の店頭展示は、変わらず土日のみの運営となります(2/5.6.12.13)。 ─ 百芍丹 / 京都市上京区御三軒町37 . . . . 'ways of viewing and crossover' ─ We are honored to announce the exhibition of pottery with Kintsugi, titled 'Shitsugeishi no me - Douguya no me' on February 2022 at Hyakushakutan KYOTO. . . . . . . . . . . 百芍丹
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by h_s_t
| 2022-02-05 23:00
| 品々のこと
. . . . . 【4/10pc】初期伊万里 松葉文平盃 / 江戸時代初期 ── Article No.4 early Imari Ware blue and white sake cup with pine needles pattern and repaireing method of Kintsugi, is the technique of fixing cracked pottery with a lacquer resin infused with powdered pure gold./ early 17c, Kamano-tsuji or Danbagiri kiln, Saga pref. Japan - repaired in Japan 寸 / 高約14.5cm 径約8.5cm 継 / 金消粉直 . . . . . . 継ぎを柳蔭さん @ryu_in.ir にご相談した折に、 「器の中に気持ちよく風が吹くような盃ですね」と話されていたのが印象的で、 遠くに蝉の声が聞こえていた 夏の頃の依頼の始まりでした。 山々に抱かれるようなおおらかさと、楚々と吹く松林の風を佳く思わせる佳品の平盃。 . . 初期伊万里の中でも加勢な装飾は省かれた品で、仄かな山呉須の発色とともに筆の走り好ましく、 類品である折松葉文よりも装飾性は一層控えられ 自然本来と向き合った絵師の心象を見ます。 . . . . . . . . . . . . 高台は中国陶磁で云われるところの所謂’玉壁高台’の態を成し、晩唐の越州窯に出現を見て以来、 連綿と続くこの成型は明清朝の青花において一定数の作品を確認できます。 朝鮮半島からの技術伝播を主流に話されることの多い伊万里の原初期ですが、 同時期に中国沿岸部や江西景徳鎮で起きていた内容に目を向けてみると、 伊万里は中国と朝鮮の相互の陶技の複合によって成立したことなどを感じ、あまり語られることの無い ’中国陶工たちの伝えたもの’などに、自身は何か思い馳せるものを思います。 明朝末期、王朝の滅亡の色はいよいよ濃く、万暦赤絵の大量焼造から陶工に敷かれた圧政の中に疲労と困憊は極みに達し、 安住の地を沿岸部に目指した陶工たちは其処さえも安住の叶う土地ではないことを知り、一部は東シナ海を渡っていきました。 彼らの採った道は、海の向こうで自分たちの陶技を必要とする安息の地であったのかと思います。 . . . 同品の佳品を初めて思ったのは、勝見充男氏の「骨董屋の盃手帖」であり、 先輩方も数々手掛けておられる中、なかなかこれといった自分の店らしい品に出会うことはなかったのですが、 ようやくといった出会いであったようにも思います。 . . . . . . . . . . . . 入手時に、既に好事の方によるラフな修繕がなされていましたが、恐縮ながら一旦これを解き、 再度の成型補修からお願いを致しました。 見込みの降り物の除去痕はあえてそのままに触らずとして進めていただいています。 . 蒔きに関しては、松葉に陽光と風が吹くような、 重くなりすぎない素材感の消金を使用していくことで互いの打ち合わせを終えました。 . . . . 後日、仕上がりの品を受け取った際には、器の中に 再び松林の風を取り戻したような健やかな器の表情を見て、 長めの修理期間を要したものの、互いにほっとしたような安堵と笑みを思いました。 . . . . . 松林に腰を下ろし、遠景を望みながら酒を喫するような盃。 どなたかの手の元で、日々の暮らしに緩やかな時間と風を運ぶ盃となれば嬉しい限りです。 . . . . . . . . . . . . . . . ───「 漆芸師の目 道具屋の目 」 場所 @hst_kyoto.4 アカウント上 期間 2022年2月1日(火)-2月15日(火) 形式 展示販売方式 (SNS.web 及び店頭) 商品価格など詳細につきましてはDMなどでお問合せくださいませ。 会期中の店頭展示は、変わらず土日のみの運営となります(2/5.6.12.13)。 ─ 百芍丹 / 京都市上京区御三軒町37 . . . . 'ways of viewing and crossover' ─ We are honored to announce the exhibition of pottery with Kintsugi, titled 'Shitsugeishi no me - Douguya no me' on February 2022 at Hyakushakutan KYOTO. . . . . . . . . . . 百芍丹
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by h_s_t
| 2022-02-04 03:00
| 品々のこと
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hyakushakutan
2016年8月より、烏丸今出川の新店舗へ移転再開いたしました
毎週 土曜・日曜 と25日 13時-18時にて営業です hst_kyoto.4 All rights reserved. Reprint is prohibited. 器物の撮影写真、文章等は百芍丹に帰属します。無断での使用、複製、転載、部分転用など、恐れ入りますがご遠慮ください。 カテゴリ
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