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月の夜ばい

満潮ばい


ばってら出そたい
明笛(みんてき)吹こたい
伴田の孫やん 踊らすばい

朝鮮船の泊り船
あんべら帆ば着て
寝とらすばい

常灯の鼻の 鼻つらが
海にうつって 三角ばい

もうぢき瀬戸は
たるむとばい
たるめば ほんと
がらす絵ばい

古い港の月の夜は
乳色 琉璃色 がらす絵ばい

潮に追われて
石垣がんぎ
蟹の這う音 聞こゆるばい

旅に追われて
月夜の旅がえり
涙の音も 聞こゆるばい

    (わが故郷は平戸にて)


          ― 『海の中の故郷』  藤浦 洸 / 1898 - 1979






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昔から近所近在に行き渡って使われている雑器は
紅鉢といわれる 大きな深めの鉢であります。

また「石皿」と呼ばれる 径一尺前後の浅い大皿であります。

旅籠屋や煮売屋を始め、どんな台所ででも重宝がられました。

この皿には皆巧みな絵を描きましたが、
いつしかたえて 今は無地ものばかりであります。


          ― 『手仕事の日本(靖文社-1948)抜粋』  柳 宗悦 / 1889 – 1961













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瀬戸 網文鉄絵 石皿 八寸目〈江戸時代後期-明治時代前期〉   御売約

※網/ 編むを語源とする説もあるが、極めて古い年代より「阿弥」(日本書記-神代 下乃歌謡)
 と記され、アミという音(おん)に「寄らせる」「集める」といった意味合いの語義が本来
 上古には包含されていたのか、その後の仏教伝来以降、この音を持つ「阿弥」という漢字は
 網(漁網)という意味を離れて随所に登用・利用されていく。
 大乗仏教上のアミターバ(अमिताभ )は由来たる梵名の意味においては別意ながら、同様に
 この漢字が当てられている(=阿弥陀如来)。
※あんべら/(古語方言)= 加減。具合・あんばい(良く)。
※ばってら/西日本に多くみられる、しめ鯖の押鮨(またはその一種)。米飯の握り飯より保
 存性高い。ポルトガル語で「小舟」を意味し、西日本を中心に船上などでもよく食された。
※鼻/ 西日本の沿海域では、小さな岬や崎を鼻と呼ぶことが多く、現在も呼称は残り、地図上
 の地名として、瀬戸内だけでも相当数が確認ができる(国土地理院、Google-Zenrin 他)。
 総じて潮流に変化ある場所で、夜間は安全の面から篝火・常夜灯などが灯された場所も多い。
※がんぎ(=雁木)/ 船着場における石組などの階段状の構造物。岸壁と異なり、潮の干満など
 による水面の上下に係わらず荷役が出来るため、近代以前の船着場で多く見られる。







                   百芍丹
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by h_s_t | 2014-09-12 01:43 | 品々のこと
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