玉風


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 旅にいづることにより

 ひとみ あかるくひらかれ

 手に青き 洋紙は提げられたり

 ふるさとにあれど

 安きを得ず

 ながるるごとく 旅に出づ

 麦は 雪のなかより萌え出で

 そのみどりは 磨げるがごとし

 窓よりうれしげにさしのべし

 わが魚のごとき手に 雪はしたしや


           ― 「旅途」  室生 犀星 / 1889 - 1962











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行きかへり 砂這ふ波の

ほの白き けはひ追ひつつ、

日は落ちて、暗(やみ)湧き寄する


           ― 「荒磯」抜粋 石川 啄木 / 1886 - 1912

















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海風が ふたたびふけば   もうわたしは

            わたし以外の  何にもならない


                     ― 江戸雪 / 1965 -









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 白丹波 錨文徳利    御売約 個人蔵

※玉風(たまかぜ)/ 日本海沿岸で、冬に海から吹く風。「束風(たばかぜ)」。






                               百芍丹
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by h_s_t | 2015-01-15 18:34 | 品々のこと
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