瑠璃

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伊万里、瑠璃の小皿。



小品とはいえ、古色の藍で器体の全てを包み込み
私たちが、もはや知りようも無い 古い時代の夜の闇を
目を通して耳朶あたりに
ふっと気配づかせるようです。


独酌の盆に添えると、図らずも見えるその古い夜に
心揺さぶられる小さな佳品に思います。




明るい色目のものは一色も挿されていないにも関わらず、
真円というかたちがそうさせるのか。

丸い月が、山中にふわりと上がったかのようにも思わせます。



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染色家の志村ふくみさんが紹介される番組を、
かつて観させていただいたことがあります。


藍の発色に月齢が関係するという、興味深いお話をなさっていました。
長い経験の中で知り得たであろうこの不思議が、
より、ご自分の求める藍に近づく重要な鍵になられたと。




染色も、やきものも、それ以外のものも
月の明かりがあるからこそ、人々は夜影の濃密なその色を
より深く、古い記憶を呼び起こすかのように
自身の心中にも映し見るのかもしれません。




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江戸期の、ほの暗い落ち着いた夜陰を思わす呉須は
黒とも藍とも言えぬ、言葉にするともったいないような
月と古い闇の印象を真っすぐに語りかけてくれます。


そして自身を、居るわけでも無い山中独居の佳き世界に誘う
小さな鍵のような小皿かと。




陶工たちがそっと残してくれた夜が、幾星霜を超え、
そこにあるように思います。





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  花 うるはしく咲き代り

  夕ぐも にほひ妙なれば

  山樵(やまがつ)の身を 好しとして

  外山(とやま)に粗朶(そだ)を集め居る



    境涯は罪なくして

    配所の月を見るに似たりとや 言はん



              ― 山中消息 《抜粋》 / 佐藤 春夫 (1892-1964)














 瑠璃皿     御売約 個人蔵(全点)








                      百芍丹
# by h_s_t | 2014-01-23 21:22 | 品々のこと

睦月

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あけましておめでとうございます。

皆々様に遅ればせてのお恥ずかしいご挨拶ではありますが、
週末の1月11日より、本年も土日のみの営業ながら
年の営業を始めさせていただきました。


早々に、多くのお客様にお越しいただき恐縮の次第です。
そしてお客様よりも、お客様との会話を楽しんでしまっているような
不束なる店主ではありますが、
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


また、年度末には体調をかなり崩してしまい
ご迷惑をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。





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睦月なる一月を迎えました。



暦は小寒を昨週に過ぎ、来週頭ごろかと思われる大寒に向けて
古くから最も寒気の厳しい時節を迎えたことになります。

二月の節分までを「寒の入り」として、冬が冬らしくある節季の中に
日本の多くの地は入ることになるかと思います。



睦月は、稲作における種籾を水に浸す月で、
「実(む)つ」からの転化が語源とも言われますが、
語源類推で最も有力とされるのは、意外にもその文字の通りに
「仲の睦つたるように」という、人々の温かみを感じる
嬉しいような由来となります。

寒さあれば 体寄せ合うがごとく、
皆々様にとって睦つき月となりますよう。




    遠来の 友あり 寒もゆるみけり

          ― 藤松 遊子 / 1924-1999



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 ■ Photo ©bins.t   & Thank you for your sweetness . (項中2枚目)  



                    百芍丹
# by h_s_t | 2014-01-13 20:10 | 日々のこと

年末年始の営業 ~12/22(日)

設えの行き届かぬままに始まった当店ですが
夏以来、たくさんのお客様をお迎えでき、
お客様はじめ、不勉強な若輩にお力添えいただきました皆様に
ただただ感謝を申し上げます。

さて、年末年始は以下の期間をお休みさせていただきます。

未完成である、店舗の防寒補強を行うため、少々早めの納めとなります。
何卒ご勘弁いただき、さまざまな品々とのお出会いで
お返しして参りたいと思います。



年内は『12月22日(日)』までの営業となります。

< 冬季休業期間 12/23(月)~ 新年 1/10(金) >

新年は 『1月11日(土)』 から営業させていただきます。


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星は すばる。 ひこぼし。 ゆふづつ。 よばひ星、 すこしをかし。
尾だに なからましかば、まいて
             -  枕草子 【段 二百三十六】 清少納言





本年も残すところ3週間あまりとなりました。


師走の忘れられた別名に、四極や窮月というものがあります。

極まりは窮まりや果てにも通じる語彙。
忙しいという字のままに、心亡くさぬよう心がけよ、と太古の人々からの
良き教えといつも受けています。

皆々様、穏やかで温かな師走で、本年の良き納めをお迎えください。









                  百芍丹
# by h_s_t | 2013-12-12 20:40 | 営業・休業のお知らせ